現在、住宅業界は大きな問題に直面しています。
「ウッドショック」という言葉を聞いたことはありませんか?
今年の3月ごろから木材の供給が減ってきた・価格が上がってきたというお話は、噂として少しづつ話題になっていましたが、4月に入り突然顕在化してきた、ということなのです。
簡単に説明しますとウッドショックとは「木材が不足して、住宅建設用の材料が作れないので、着工出来ない・できたとしても住宅の価格が高くなりそうだ」ということなのです。
どうしてそんなことになってしまったのかと言いますと……。
◆「ウッドショック」は輸入材の供給不足から起こっていますが。
その背景にはそもそも日本の建築用材の約半分が輸入材だという事情があります。
林野庁の資料によると、令和元年(2019年)の製材用材の自給率は51.0%
2020年の木造住宅着工数は約48万戸で、そのうちの約24万戸分は輸入材で作られています。
足りない米松などの代わりに、多くの会社が杉や桧といった国産材を使い始めました。
買う人が増えたからといって国産材の供給量が急に増えたりはしませんし、もともと国産材を使っていた住宅会社・工務店と「限られた国産材」を奪い合うことになってしまいます。
このように
①輸入材が不足 → ②国産材を代用 → ③国産材も不足
という流れが出来てしまったのです。
◆なぜ急に輸入材が不足してしまったのかというと、、、
アメリカで木材需要が急増したのが理由のひとつです。
新型コロナの影響で経済が滞ったのはアメリカでも同じですが、その対策として政策金利が実質0%という低金利を実施しました。
これにより住宅ローン金利が大幅に低くなり、たくさんの人が家を建て始めたのです。
家を建てるには木材が必要で、これまで日本に輸入されていた木材がアメリカで使われるようになりました。
こうして「限られた輸入材」をアメリカと奪い合うことになり、アメリカに優先的に供給される事態が起こりました。
なお、もともと日本で建築用材に使われる針葉樹の輸入量は、アメリカや中国の輸入量の1割ほどしかありません。
より市場が大きく、高く買ってもらえるアメリカや中国が優先されるのは当然のことでしょう。
◆アメリカから輸入できないなら他の国から輸入すればよいのではないか、と思うところです。
しかし、ウッドショックは世界中で起こっています。
そしてその背景は、世界的なコンテナ不足があります。
昨年、新型コロナウィルスの影響で、世界的に海運業が一時大幅に落ち込みました。
経済停滞、ロックダウンなどによって荷物の取扱量が減少し、船会社の多くがコンテナを返却・売却する事態になってしまったのです。
幸いヨーロッパや中国はいち早く経済が持ち直し始めましたが、だからといってコンテナを急に増やせるわけではありません。
結果的に海運業はコロナ以前の状態に戻らず、ヨーロッパの木材は陸路で運べる地域に供給されるようになりました。
もともとヨーロッパではEU圏内への供給を優先していますが、EU圏内に加えて中東などへの輸出が増えているとのことです。
◆それなら国産の木材を増やせば良いというお考えもあると思います。
しかし国産材の歴史は、輸入材の需要が始まった時から、長い年月をかけ供給量が減った現状があり、急激に増加した需要を増やす人材や環境がありません。
以上のような要因で、多くの木材価格が昨年より3~6倍とも言われるくらい、高騰している現状。
それが現在、住宅業界に起きている『ウッドショック』なのです。
どうやらこれは長期化の様相で、今後の見通しはすぐには立たないだろう、というのが大方の見方です。
そうなると、末端にある地場でおうちを建てているメーカーも、材料費高騰により建築費そのものが上昇し、材料が入らない事により着工が出来ない可能性が今後増えてくるのではないかと考えられます。
現在、建売住宅で且つ完成している物件は、これからお値段が変わることはありません。
しかし上記のような状況から、今後建てられる物件に関しては、お値段が上がってしまう可能性があります。
もし現在、具体的にお家の購入を考えているようでしたら、これらの建売物件がなくなってしまう前に、なるべくお急ぎになったほうが良いのではないかと思われます。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
ウッドショックについて、もっと詳しい話が聞きたい、現状どうなっているの?
急ぐって言ってもどれくらい急げばいいの?? など。
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