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知っ得豆知識

2022.01.21

新耐震基準と旧耐震基準。住まいの耐震基準はどう変わってきたの?

先日、トンガで海底火山が噴火したとニュースで報道されました。
このたびの未曾有の災害に際し 御見舞い申し上げます。

突然深夜に津波の緊急アラームが鳴り、津波が来る! とSNSでも話題になっていました。
しかも一度津波の心配はないと報道されてからのアラームだったこと、噴火してからかなりの時間が経ってからだったということで、私もニュースを拝見して驚きました。
そうして、津波のニュースを聞いて、十一年前のことを思い出していました。そう、東日本大震災です。

我が国は地震の多い国で、震災を経験するたびにいくつもの教訓を経て、耐震基準はたびたび改正を重ねてきました。
お家とは、家族の命を守り、災害の後も生活の場としてあり続けなければなりません。
このお家にどのような決まりが設けられているのか。
本日は「新」耐震基準と「旧」耐震基準、この二つのどこが違っているのかなどについて詳しい記事をご紹介いたします。



 




「旧耐震」「新耐震」って何?
知っておきたい日本の住まいの耐震基準の変遷


地震が起きたときに、国民の生命や財産が守られるように、一定の強さの地震に耐えられる構造の建物が建築されるために、住まいの耐震基準が建築基準法や施行令などで定められています
建築基準法は「生きた法律」ともいわれ、大きな地震が起きるたびに損傷を受けた建物を検証し、耐震基準が改正されてきました。
建築基準法で定められた耐震基準を遵守することで、一定の耐震性能を確保することが可能です。



■住まいを守る「耐震基準」とは?
住宅などの建物を建てるには確認申請が必要なので、建築基準法で定められた耐震基準に合致したものが建設されてきています。
しかし、これまで建築基準法の耐震基準の改正は遡っては適用されていません
そのため、確認申請が出されたタイミングによって、異なる耐震基準の建物が存在しているのです。

マンションや一戸建てなどの中古物件を購入するときには、確認申請を受けた年月日は不明なことが多く、建物が竣工した年を目安に耐震基準を推測することになります。
これまで日本の耐震基準はどのように変わってきたのか、また、現行の耐震基準とはどのようなものなのかみていきましょう。


■旧耐震って何?日本の耐震基準の変遷
建築基準法は1950年に制定され、耐震基準は1971年と1981年、2000年に大きな改正が行われました。
このうち1981年の建築基準法の改正によって、1981年5月31日までに確認申請を受けた建物は「旧耐震」、1981年6月1日以降の確認申請を受けた建物は「新耐震」と呼ばれます。
旧耐震では「震度5程度の中規模の地震で大きな損傷を受けないこと」が基準となっていました。
これに対して新耐震では、「中地震では軽微なひび割れ程度の損傷にとどめ、震度6程度の大規模な地震で建物の倒壊や損傷を受けないこと」という基準に変わっています。

1971年の建築基準法施行令の改正は、1968年に起きた十勝沖地震を踏まえたもので、鉄筋コンクリート造のせん断補強基準の強化が図られました。
柱に入る鉄筋のうち、主筋は縦に入り、帯筋は主筋のまわりに巻かれているものですが、帯筋の間隔が30cm以内から10~15cm以内に改正されました。
帯筋を増やすことで主筋を拘束し、柱や梁のねばり強さを高め、コンクリートが破断し、建物が倒壊することを防ぐものです。
また、木造住宅では基礎を独立基礎から、連続したコンクリートの布基礎とするよう規定されています。


■現行の耐震基準とは
現行の耐震基準は、主に1981年の建築基準法の改正によるもので、前述のように「新耐震」といわれるものです。
1978年の宮城県沖地震を受けて改正が行われ、1995年の阪神・淡路大震災でも新耐震の基準を満たした建物の損傷は少なかったとされています。

1981年の改正では、一次設計の「許容応力度計算」と二次設計の「保有水平耐力計算」の概念が取り入れられました。
一次設計では、「中規模の地震に相当する、建物が支える20%以上の重さの水平力を受けても損傷しないこと」を検証するもので、旧耐震と同様です。
二次設計は、大規模の地震に相当する建物が支える100%以上の重さの水平力を受けても倒壊しないことを検証します。

また、建物の高さや建物が建つ場所の地盤の性質などによる地震荷重の違いを考慮して、実際の地震による力を反映したものとなりました。
建物のねじれを防ぐため、バランスに配慮した設計も求められるようになっています。

2000年の建築基準法の改正は木造住宅に関するもので、鉄筋コンクリート造のマンションの耐震基準は1981年の改正以降大きく変わっていません
基礎は地耐力に合ったものと規定され、木造住宅でも事実上地盤調査が義務づけられています。また、柱や筋交いを固定する接合部の金物が指定されて耐力壁の配置のバランスも規定されました。


■マンションでの耐震補強はどうする?
旧耐震のマンションの場合、耐震補強工事を行うことが望ましいですが、所有者の合意形成を図り、総会での承認などの手続きが必要です。
設計事務所などに依頼して、耐震診断を行い、診断結果に基づいて耐震補強計画を検討し、耐震補強工事が行われる流れです。
マンションで耐震補強工事を行う場合は、住みながら工事を行う「居ながら工事」が一般的です。
室内側の工事で一時的な移転を伴うことは、所有者の合意を得るのが難しいため、室外の工事が前提となります。

柱や鉄骨ブレースなどの斜材を室内に設置すると居住面積が狭くなり、窓にかかると眺望や採光の問題も生じるなど、資産価値にも関係します。
鉄骨ブレース補強は居住状態のまま外付け工事も可能ですが、眺望に影響を及ぼすことや外観に違和感が生じることもあります。

外観の美観を向上させて、採光や眺望に影響しない方法として挙げられるのは、アウトフレーム工法です。
プレキャストコンクリートを外壁側に取り付けるもので、外観のリニューアルを兼ねて行い、デザイン性を向上させることも可能です。
ただし、重機の設置スペースが必要なため、敷地に余裕があることが条件です。



Webサイト:不動産・住宅情報サイトLIFULL HOME’S
住まいのお役立ち情報 暮らし方
「「旧耐震」「新耐震」って何?知っておきたい日本の住まいの耐震基準の変遷」より

 

 

 

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